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ポルシェ 911 VDO製 電気式スピードメーター修理


スーパーカー、スポーツカー専門ECU修理 HEART Inc.

ざっくり言うと…

  • ポルシェ911のスピードメーターは年式を問わず割と壊れる
  • ギアが壊れるケースが最も多いが中には電気的に壊れる場合も
  • コンデンサのパンクで動かなくなるのではなく、ICが壊れるケースが多い

最近はぽつぽつとホームページからお問い合わせを頂くことが増えてまいりました。
車種はやはりイタリア車やロータスが多いのですが、今回はドイツ車、それもポルシェです。
1976年式Porsche 911Sですが、1976年製には911Sというグレードは廃止されているため、2.7Lエンジンの最終型である1975年製でしょうね。
アメリカの安全基準に合わせた5マイルバンパー、いわゆる「ビッグバンパー」が装着されてから間もないモデルです。

Porsche 911S 1975
1975 Porsche 911S Type901 “H”series

ポルシェ911はスポーツカーの中でも最も知名度が高くて、老若男女とも年代に限らず認知されているスポーツカーです。
イタリア製のスポーツカーと違って、ポルシェは「常用車」と「スポーツ車」の究極の妥協点を追い求めると911になると思っています。
通勤からサーキットまで、すべて1台でこなすなら911以外には無いでしょうね。

Porsche 911 instrument
ザ・911って感じのメーター周り

ご依頼頂いたメーターは、Porsche 930Turboのスピードメーターで、ずいぶん前から付いていたそうです。
と、いうわけで、車両は911Sですが、スピードメーターは930Turboってことで、フルスケール300㎞/hの電気式メーターをお預かりいたしました。


フェイスがずっと変わらないVDO製のスピードメーター

VDO製のメーターはプレクシグラスとハウジングが金属製のリングでカシメてあり、ハウジングを外すのが苦労します(^-^;
メーターの修理を専門にやられている方は専用器具を使用して外す場合もあるようです。
当社も諸先輩方に倣ってもっと学ばねば…。

  • No.1
    No.1
  • No.2
    No.2
  • No.3
    No.3
  • No.4
    No.4
  • No.5
    No.5
  • No.6
    No.6
  • No.7
    No.7

メーターをバラバラにして基板をよく観察しても、部品や基板には外観上の不具合はありません。

「それじゃモーターがおかしいんじゃね?」

と、考えてしまうのは短絡的過ぎます。なぜならこのスピードメーターは速度計と距離計が完全に分離してて、それぞれが関係して同期してることは全く無いことは分かっているし、修理前の動作確認でどちらも動かないのは確認しています。
(修理前の動画は撮り忘れてしまいました(^-^;)

仕方ない、プリント基板から回路図を逆解析しましょう!
さぁ、ここからは専門的な言葉が出てきますので、興味の無い方は読み飛ばしてくださいねw

まずは基板上のICがどんな機能を持っているのか、探らねばなりませんが、幸いマーキングコードが見えていますので、ググってみます。

ド、ドイツ語オンリー…(^-^;

ICのメーカーは”ITT”です。これはアメリカの会社で、通信系企業の最大手で、日本でいうところの”NTT”と同じような企業です。
アメリカの企業なのにデータシートにドイツ語しか見つからない、っていうことは、VDO社向けにカスタムされたICだ、ってことが濃厚です。
こういうことは大メーカーはよくやります。BOSCHブランドのICとか、SONYブランドのICとはいっても作っている半導体メーカーは全然別の、いわゆる相手先ブランドでの製造。つまり”OEM”ってヤツです。

ん?でも読める、読めるよ~!
等価回路を見るとドイツ語とはいえ、電子回路用語は医学用語同様、ドイツ語が語源になっている言葉が多いので、どんな回路がICに挿入されているか何となくわかります。
つまり、

シュミットトリガ回路で受けた入力信号を、モノステーブル回路で変換の後、ディバイダを入れてステッピングモーター出力にする回路と、カレントソースで電流変換した回路を内包しているF/VコンバートIC

って事です。
普通の人は何言ってるか分からないですよね…(^-^;

この等価回路のおかげでものすごくプリント基板のパターンから回路図を作成することが楽になりました。さぁCADに入力していきますよ!

この程度の回路図でもプリント基板から回路図に戻すのには20時間近くかかります。しかし回路が出来ればこっちのモノ!

仮想的にスピードセンサー信号を入力して、ICの一部の機能が死んでいることが分かりました。

プリント基板の入力ターミナルから、ICの入力ピンは抵抗分圧でアイソレートされ、分圧分の電圧が入力されるはずなのに、それよりも入力信号が小さくなっている。つまり、インピーダンスが何らかの故障で落ちていて入力信号が小さくなり、シュミットトリガ回路が働かない。

DC信号を入力してもわかりませんが、スピードセンサー信号と同じ波形を仮想的に入力して気が付きましたw
カスタムICなのですでに生産は間違いなく中止していますが、こんな困難な探し物でも見つかるのがインターネットの凄さです。
何と新品のデッドストックICをギリシャより輸入することが出来、ICをごっそり交換して修理が完了いたしました。

プリント基板もICも破壊せずICを外します。簡単そうに見えるけど難しいんですよ。

お客様のお話によると、今までは距離計の故障や、スピードセンサーの故障など回路以外の故障は対応できたけど、電気的故障はストックしてあるスピードメーターから回路基板だけを移植して、ドナーのメーターは捨てていたそうですが、電気的原因が明確になれば、部品取りとしてドナーとなるスピードメーターの必要も無くなりますね。
ただし、ICの在庫も限りがありますので、興味のある方は早い者勝ちですよ!

最後に、修理後の動作確認をした動画を貼っておきますので、ご覧ください。

フェラーリ, マセラティ, ランボルギーニ, ロータス専門
ECU, コンピューター, メーター, 特殊電装品・電子回路製品 修理, リビルト
解析再構築, オリジナル電子回路設計・開発
HEART Inc.


Published in911ポルシェメーター自動車部品解析修理

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